心ほんわり桜色

心ほんわり桜色

起床してすぐ枕元の衣服をまとい 帽子を目深にかぶり昨夜来ずっと楽しみにしていた桜の元へと急ぐ。
日頃よりもずっと早起きで まだ5時前なのにもう昼と変わらないくらいの明るさだ。

東の空は薄い灰色の帳(とばり)のここかしこにある 雲の隙間から橙色の光が差し込んでき始めた。
今日もきっといいお天気だ。

道路も車は殆んど通らず 未だ街も人も眠っている。 静かな静かな朝。

毎年会う桜の元に行き(おはよう!元気そうだね!良かった!今年も会えたね。ずっとずっと会いたかった!)としばらく見とれてから声に出して桜にこの一年のさまざまなことを語りかけた。

夜気を吸い込みまだ少し重そうな花弁を かすかに揺るがしながら頷くように聞いてくれる桜。
遠くのほうから犬を連れたお爺さんが歩いてくるのが見える。
他にはだれもいない 広い広い空間に 桜と私だけの時間。

まだ誰も吸っていない朝一番の 酸素一杯の新鮮な空気を 深呼吸して思い切り肺に送る。
清水がこんこんと湧き溢れるように 肺一杯の酸素が体中に満ち広がってゆくようだ。
なんだか体中の細胞がほんわりと桜色に染められてゆくような心地がする。

桜・さくら・サクラ・SAKURAどんな書体で書いても美しい桜。音調自体も美しいのだ。
そして朝も昼も夜もそれぞれにいつ見ても美しい桜。

青空の下に映える昼の桜は 絢爛豪華で気品に溢れ 桜の枝の合間から見上げる空は かすかに桜色のヴェールがかかり 周囲も床しい桜色に染まっているようだ。正に霞か空かの歌の如くに。



桜の美しさにあまりにも深く心を奪われ 武家の名門に生まれながらも出家をして僧侶になった西行法師(さいぎょうほうし)
*****吉野山こずえの花を見し日より 心は身にも添わずなりにき*****
≪吉野山に咲くこずえの桜の美しさを見てからは その感動に心が奪われ身体から離れてしまいそうだ。それほどに美しく憧れずにはいられない桜の見事さであることよ≫
多分そんな思いを詠んでいるのだと思う。いい得て妙。やはり素晴らしい歌人だ。

ライトアップされた夜桜も 闇夜にくっきりと浮かび上がり 優雅で恥じらうような風情がある。
中学時代に愛読した与謝野晶子の歌を思い出す。
***清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵あふ人みな美しき***
単純明快。誰にでも簡単に解釈ができる。覚えやすく口を衝いて出やすい好きな一首だ。

桜を詠んだ沢山の短歌がある。日本人の心の花。凝集の美。日本を象徴する桜。
ずっと見上げているとその美しさに魅かれることは勿論 来し方のさまざまのことが思い浮かび 何だかやるせないような思いも湧いてくる。 時の経過も包み込む優しさが桜にはある。

パッと咲いてパッと散りゆく桜。
時間のある限り毎日でも会いに行こう。

桜の傍のベンチに腰掛けて 持参した水筒のホットコーヒーを少しづづ飲みながら 思いつくままの知っている限りの桜の短歌を口ずさみ 桜に語りかければ ほわぁとした桜色の笑みを浮かべ 枝をそよがせ頷いてくれるあの桜に会いに行こう。
桜に会うために急ぐ道中も 心ほんのり桜色。桜尽くしの至福の時を享受する。

本日もお読み下さって有難うございます。
毎週火曜日に更新しています。次回は五月十日です。言の葉ISの絵の無い絵本。
どうぞご覧くださいませ。



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メッセージありがとうございます。
機会音痴なので、メッセージさっき気がつきました(-_-;)
これからもよろしくお願いします^^
福岡の桜は散ってしまいましたが、藤がとてもきれいに咲いてます。
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Author:言の葉IS
みちのく秋田在住。
座右の銘{往く言葉が美しければ 還る言葉も美しい}
日常の小さな出来事を綴ります。

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