手仕事

秋の夜長の独り言


***月読(つきよみ)の光を待ちて帰りませ 山路は栗のいがの多きに***
(月の光が出る頃まで待って それからお帰りなさいまし。山路は栗のいがが多うございますから)
良寛様の御歌だ。
覚え易くて お人柄が伝わってくるお歌で 光景も絵のように浮かんでくる。好きな一首だ。

秋田市内の自宅にいると 建物や車そして街灯など 夜になってもそれなりに人工の光に照らされて明るい。
人の姿形も物の色もそれなりに判別できる明るさがある。

しかし車で2時間半ほど走って夫の生家に行くと 夜の暗さがよく解る。
小説などに墨を流したような真っ暗な夜・・・などと書かれている闇の世界を実感する。
それと同時に月の光がどんなに頼りになるかも実感させられたものだった。
良寛様のお歌の世界に合点。月明かりと言う言葉にも思いが至った。

家の中の電気を消すと 本当に真っ暗で そしてもの音がしないことにも驚いたものだった。
台所の柱時計の音 そして時折ボタッ!思わずドキッとする。
栗のいがの落ちる音が異常なほど大きく伝わってくるのに初めの頃は驚いたものだ。


栗拾いをし易いように 栗の木の下はこまめに草を刈る。草の中に落ちると見つけにくいからだ。
少しづつ樹木のことが判るようになり 仕事の効率化にも智恵が働くようになってからは 栗の木の下にはシートを敷くようになった。シートの下は草も伸びなくなるし 栗も直ぐに見つけられる利点がある。

栗は拾いながら籠に入れ 空になったイガはバケツに入れていく。
この手順を守ると シートの上はいつも中身の入ったイガだけとなり 孫にも見つけ易くなる。

若木も小さいなりの実をつけてくれた。茹で栗にして食すと若々しい栗の匂いが口中に広がった。
甘くて美味しい栗だ。
年数のたった栗は 流石に大きくて皮もつやつやに光り綺麗な姿。渋皮煮に最適だ。
(栗くり坊主)と言うネーミングの栗剥きで 鬼皮を剥く。この時少しでも渋皮が剥がれて下から黄色い実が覗くと 重層であく抜きをする度に 実が飛び出してしまうので 注意が必要だ。


数年前までは次男が一緒に剥いてくれた。
二男の方が手先が器用で 仕事が早くて丁寧だった。渋皮を傷つけずに剥くことに注意を払いながらも雑談したり笑ったり 手と口を動かしながら楽しい時間だった。

仕事の早い二男の方が不良品は稀で 私が失敗した数の方が多かった。
少しでも渋皮のはがれた栗は 実だけにして栗ご飯用にした。


良寛様のお歌を口ずさみながら 秋のしじまに一人で栗の皮むきをしていると 来し方の様々が浮かんでくる。
東京から秋田に嫁ぎ 親戚も同級生もいない町で 苦しかったこと 悲しかったこと 口惜しい思い・・。
走馬灯のように次々と浮かんでは消える思い出のひとこまひとこま。

若くて弱くて不器用な自分がいた。
今は時間の経過と共に 良いことも辛かったことも全てが懐かしい思い出となった。
嬉しいことも悲しいことも 生きている証であり それを懐かしむことが出来るのは それなりに乗り越えてきたあかしでもある。

様々な思い出の時間を包み込んで 今年の栗も 渋皮煮・栗ごはん・茹で栗 どれも美味しく仕上がった。
豊かな実りと 深い時間を頂いたことに感謝をしつつ記す秋の夜長の独り言。


拙い独り言を最後までお読み頂き有難うございます。
(言の葉ISの絵の無い絵本)毎週火曜日に更新しています。
次回は十一月六日です。どうぞご覧下さいませ。


追記・・・栗の関連記事 2011.10・04(ひとびんの幸せ) 渋皮煮の作り方を書きました。
よろしかったら こちらもご覧下さいませ

コメントの投稿

Secre

No title

おはようございます。

栗の美味しそうな香りがただよってきました。

昨夜は十三夜の栗名月あとの満月で綺麗でした。
良寛さまといえばとなりの越後の出雲崎ですね。

ほっこらとした暖かいお歌ですね。
昨日の満月はまだ少しうす暗くなった時にもう出てきましたので
これは何時くらいのお歌でしょうね。
まあそんなことを考える必要もないでしょうが・・・・。

十九夜や二十三夜の月待ちというのはわかるような気がします。
今の都会でももう少し不必要な電気を消して夜空を楽しめたら
良いのになどと思いますね。

昔は東京も武蔵野の雑木林などにも栗がいっぱいありましたが、
今はどうなったのでしょうね。
小学生の頃は毎年栗拾いをしていました。

No title

おはようございます。
栗おいしそうですね。息子さんと栗の皮を剥いているところを想像して、とてもほほえましそうでいいなと思いました。
私の住んでいるところは、全国でも有数の栗の産地で、私が越してきた時は家の周りほとんど栗畑。いまはみんな住宅街です。栗は育てるのが大変で、こどもにやらせる家が少ないんだそうです。
我が家では近所の栗農家と知り合いで、今年もたくさん栗を頂きました。この時期の楽しみは栗ご飯です。
素敵なお話と良寛様のお歌を教えていただきありがとうございました。

No title

おはようございます♪

良寛さまのお歌で昔の田舎の夜の風景を想いだしました
小さい頃から怖いもの知らずだった私は真っ暗な夜道でも一人で平気でした
今のようなアスファルトではなくでこぼこな地道を無心に歩いたものです
月明かりを感じた事はあったのでしょうかね

栗にはとても嫌な想い出があります
小学生の時ですかね 山の持ち分の境界線など知る由もありません
落ちていた栗を拾っていたのです 
隣の持ち主のお兄さんにこれは家のだから取らないでと言われた事にひどく傷ついた想い出があります
子供の小さな手いくらも手には入らないのです

それ以来そのお兄さんが大嫌いになりました
大人になっても出会えば避けていました 執念深い(笑

それ以来子供に言葉をかける時には細心の注意を払うようになりました
傷つけないように言葉を選んで良い勉強をしたと思っています

我家の栗ご飯には小豆も入っていました これが母の味です
当時は栗ご飯は大のご馳走でしたね

当時は栗剥き器はない時代 固い皮を柔らかくするために一晩水に付けていましたね
その後渋皮も水に付けていました
栗を剥く母の姿が蘇ってきました

栗と言えば運動会 その頃に出てくるのですよね
早生みかん&栗がおやつでした 巻き寿司にお稲荷さんこれも定番のご馳走でした
母の巻き寿司&お稲荷さんは繊細で美しいものでした

御次男さんと共に皮むき それだけでどのような息子さんなのか想像が付きます

季節がめぐる度に走馬灯のように廻ってくる栗の想い出 愉しいものも苦いものもそれなりに
息づいているのが不思議ですね

ブログを書かなくなってかららぶりーずとの散歩が日課になりました
健康の為にも空を風を鳥を花々を感じられるようになりました

これからはこのような時間を大切にしていきたいですね
長々と申し訳ありません 今日も最高の一日を過ごせますように。。。

Roman 様

Roman さま おはようございます。(*^_^*)

>良寛さまといえばとなりの越後の出雲崎ですね。
ええ そうです。良くご存知でいらっしゃいますね。
名主の神官の長男だったかと思います。

>ほっこらとした暖かいお歌ですね。
本当にそうですね。判り易くて万葉調で 口ずさみ易いですよね。♪♪~

>小学生の頃は毎年栗拾いをしていました。
私もそうでした。懐かしい思い出でした。 
この歳になって再び体験できるとは思いもしませんでした。ヽ(^。^)ノ
孫達の心にも記憶されれば良いなと思っています。

栗の収穫も終わり庭の風景が またひとつ閉じられてゆきました。

今日もお越しいただき有難うございます。♪~
心豊かに素敵な一日でありますように。

troy様

troyさま おはようございます。(*^_^*)

>息子さんと栗の皮を剥いているところを想像して、とてもほほえましそうでいいなと思いました。

有難うございます。
毎年栗の皮むきをする度に巡ってくる 懐かしく大切な思い出です。
こんな風に仰って頂いて とっても嬉しいですヽ(^。^)ノ

>私の住んでいるところは、全国でも有数の栗の産地で

そうですよね。
昨年 troyさんのブログで栗の生産地日本一であることを教えて頂きました。
友人たちも なんとなく長野県と思いこんでいる人が多かったので 勉強になりました。§^。^§
(小布施)のイメージが強いから 勘違いしていたのだと思います。(不勉強なだけですよね(>_<) )

>この時期の楽しみは栗ご飯です。
本当にそうですよね! 秋ならではの御馳走ですよね。私も大好きです(●^o^●)

今日もお越しいただき有難うございます。♪~
心豊かに素敵な一日でありますように。

No title

いいお話しですね~
この時期ウチも栗を食べる機会が多いので
美味しい味と一緒に幸せな気分に包まれて
読んでおりました。

上手に栗とお付き合いしてるんですね。
桃といい、栗と言い、本当にかしこくされてるな~
いがのついた栗の落ちる音なんて、聞いたこともなかった!
すごく風流ですよね~
忙しく騒がしい毎日では、そんな貴重な音聞けません。
そういうことこそ「豊かに暮らす」ということなんでしょうね~
言の葉さんの記事はいつもそういう事教わるな~
ありがとうございました。

No title

住宅街で街灯がたくさんある場所に住んでいるから
夜もそこそこ明るい中で生活をしています
今はどんな田舎でも1つ2つの明かりはあるのかもしれないけど
昔はホントに闇だったんでしょうね

栗は大好きで栗ご飯のときはみんないっぱい食べます
母が1個1個皮を剥いてるの
大変だろうな~と思いながらも
ついつい 「 栗ご飯食べたい 」 って

私は天津甘栗すら自分で剥けない人なので・・・
   ↑↑ すっごい不器用です

No title

秋ですね、本当に栗のおいしい季節です。

先日我が家でも「渋皮煮」を女房が作っていました。

作り方がわからないのでネットで探して欲しいと頼まれ、それは簡単に見つけることができプリントして渡しました。
翌々日だったでしょうか、女房が嬉しそうにその出来上がりを見せるのです。
聞くところによると、皮を剥く作業に一番時間がかかると言っていました。
その意味がよく分かりました。
形も味もよく、近所にも配ったようです。

食べ干すには時間はかかりませんでしたが、作るのは大変のようでした。

もう少し味わって食べればよかったと、言の葉さんブログを見て感じました。

はやとうり様

はやとうりさま こんばんは。(*^_^*)

> 小さい頃から怖いもの知らずだった私は真っ暗な夜道でも一人で平気でした
羨ましいです。
暗闇・高所・閉所・突端・スピード・・・・この後に続く共通の言葉は恐怖症デス。(>_<)
真っ暗だと眠れません。高い所は登れません。狭い所で戸を閉め切ると息苦しくなります。
傘の先端も怖いし ジェットコースタでは気絶寸前(ディズニーランドのスペースマウンテン)
怖いもの 苦手な物が多いので 羨ましいです(T_T)

>我家の栗ご飯には小豆も入っていました これが母の味です
当時は栗ご飯は大のご馳走でしたね

色彩的にも綺麗ですし 炭水化物だけでなくたんぱく質も取れて 智恵ですね(^_-)-☆
手間暇のかかる 今も嬉しい秋のご馳走NO.1だと思います♡~

>栗と言えば運動会 その頃に出てくるのですよね
早生みかん&栗がおやつでした 巻き寿司にお稲荷さんこれも定番のご馳走でした
母の巻き寿司&お稲荷さんは繊細で美しいものでした

全くその通りです ヽ(^。^)ノ 懐かしいですね!!
秋の運動会の定番おやつだった頃のミカンは 少し青くて酸味と甘みがあって
何よりもかぐわしい・・・・ああみかんだなぁというかおりが遠くまで広がったように記憶しています。
それを思い出して今時分のミカンを買ってみたら 無味無臭でがっかりしました。あの香りが懐かしいです。

はやとうりさんのお母様は とてもお料理上手でいらしたのですね。
だからあんなに綺麗で美味しいお料理が作れるのですね。素敵な遺伝と贈りものに感謝ですね(^_-)-☆

>健康の為にも空を風を鳥を花々を感じられるようになりました
素敵な時間の紡ぎ方をなさっておいでですね。
感受性の豊かな方でいらっしゃいますから 一層心豊かな時間になりますね!!

今日もお越し下さって有難うございます♪~
明日も良いことの沢山ある幸せな一日でありますように。

No title

深い闇に浮かぶ月明かりの光景
息子さんと 栗を剥いている言の葉ISさん
栗の木の下を整備する言の葉ISさん
様々なシーンが浮かびました。

ほんのり優しい光景の中で
昔の弱かった自分を振り返ると
胸がきゅんとなったり
せつなくなったりしますが
それも今の幸せの形なのでしょうね。
今、心豊かに暮らせるのは
今までの自分がそこにいたからなのかもしれませんね。

aaconee様

aaconeeさま こんばんは。

aacoさんのお宅も栗料理楽しんでいらっしゃいますよね(*^_^*)
お櫃一杯の 美味しそうな栗ごはん目に浮かぶようです。(●^o^●)

>いがのついた栗の落ちる音なんて、聞いたこともなかった!

栗の木が大きくなって 高さがあること。
実もとても大きいものが採れるようになり いがも大きく重いこと。
寝室の窓から二十メートルくらいの所に栗の木があり 更にはアルミのシートが一面に敷かれていること。
これらがあいまって あの鈍い落下音が響いてくるのだと思います。
山のすり鉢の底のような土地で 空気も澄んでいるから音も伝わるのでしょうか。(^_-)-☆

>言の葉さんの記事はいつもそういう事教わるな~
ありがとうございました

そんな風におっしゃって下さって とても嬉しいですヽ(^。^)ノ
拙い独り言のような記事を温かく受け留めて下さって こちらこそ有難うございます。

今日もお越し下さって有難うございます♪~
明日も良いことの沢山ある素敵な一日でありますように。

秘密のさいこちゃん様

秘密のさいこちゃんさま こんばんは。(*^_^*)

今朝NHKで香川県の観音寺方向にある豊稔池が映っていました。
そこに辿り着くまでの のどかな道筋と 遠くにたたなづく山々・・・・。
美しい映像を見ながら さいこちゃんのことを思い出していました。(^_-)-☆

栗ごはんは 皆大好きですよね(●^o^●)
お母様も リクエストされると嬉しくて頑張り甲斐がありますね♡~

さいこちゃん 天津甘栗もマミーにお願いしているの?
素敵なピアニストなのですから 手先も器用な筈ですが 手を痛めてはいけませんものね♪~

お越し下さって有難うございます♪~
明日も良いことの沢山ある素敵な一日でありますように。

Meipapa 様

Meipapaさま こんばんは。(*^_^*)

> 翌々日だったでしょうか、女房が嬉しそうにその出来上がりを見せるのです。
聞くところによると、皮を剥く作業に一番時間がかかると言っていました。

仲の良いご夫婦で素敵ですね(^_-)-☆
渋皮煮は 工程は単純ですが 渋皮だけにする作業が手間暇を要します。
でもと言うのか だからこそと言うのか 美味しいですよね(●^o^●)

>形も味もよく、近所にも配ったようです。

まあ~ それは良かったですねヽ(^。^)ノ
プリントアウトする旦那さまと そのレシピを見ながら作る奥様との合作ですね!すてきだなぁ~!!

お越し下さって有難うございます♪~
明日も良いことの沢山ある素敵な一日でありますように。

イヴまま♡様

イヴまま♡さま こんばんは。(*^_^*)

>今、心豊かに暮らせるのは
今までの自分がそこにいたからなのかもしれませんね。

様々な思いを丁寧にくみ取って下さって有難うございます♪~。
本当に仰る通りですね。
言い訳をしたり 正論をかざしたり 逃げ出していたら 今の私はありません。

因習の深さや呪縛に押しつぶされそうになったり 涙した日があっても 
それを耐えて母となる喜びを頂き 二人の息子を授かることが出来たのだと思います。

今は全て(恩讐の彼方)
「今までの自分がそこにいたから」・・・・深い言葉です。探していた言葉のような気がします。言い得て妙。

今日もお越し下さって有難うございます♪~
明日も良いことの沢山ある素敵な一日でありますように。 

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Author:言の葉IS
みちのく秋田在住。
座右の銘{往く言葉が美しければ 還る言葉も美しい}
日常の小さな出来事を綴ります。

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