父からの贈り物

クリスマスの過ごし方



子供の頃 体があまり丈夫でなかったこともあり 外で遊ぶよりも一人で本を読んでいることが好きだった。
小学校入学のお祝いにと 父が講談社の少年少女世界文学全集全集を取り寄せてくれた。
かなりの冊数になる本だった。毎月 一冊づつ届く。広辞苑の半分くらいの厚さだろうか。同じように丈夫で厚いサックに収められた堅牢な作りの本で随分長いこと本棚にあり よく手にしては読み返した。大概の名作はこの全集のお蔭で知ることができ 今も私の心を養ってくれた原点であると思っている。

挿絵のある絵本と異なり 岩波文庫のように文字だけで綴られている。
一回目に届いたのは 「ああ無情(レ・ミゼラブル)」だった。
わからないことや初めて出会う語彙や語句も多々あったと思う。

例えば燭台。身の回りにないものもあり それらを父に問うと真剣に説明をしてくれた。
父は 教え好きで 話好きで たった一つの質問からいろいろな話にと広がった。それもまたとても楽しいひと時だった。すらすらと読み進むもよし 知らない語句に出くわすもよし。読書は沢山のことを教えてくれる 最も身近で有り難い大切な友でもあった。

今芝居等で上映されている(レ・ミゼラブル)とは7歳の頃から出会っている 懐かしいお話である。
何の財産も名誉もない平凡な家庭だが 父が読書好きで沢山の良い書物と出会うことができたことだけは有り難いことだったと いつも思っている。

二冊目に届いたのが クリスマス・キャロルだった。
精霊の出てくる話で これも精霊について問うたことを今もよく覚えている。

主人公はスクルージと言う 人生は金が全てと家族も持たず守銭奴で頑固で町一番の嫌われ者の老人だ。
ロンドンは街中に讃美歌が流れ クリスマスを祝う陽気な賑わいが溢れている。
使用人で唯一の甥にもたった一日の休暇しかやらず少ない給料でこき使い ストーブ用の薪も甥が勝手につぎ足さぬよう自分の手元に置く徹底したケチぶりのスクルージ。

夜寝ているとかっての共同経営者だった男の亡霊が夢に出てくる。
その体には長い鎖と鉄の重りがついている。
その姿に驚いているとその男が言った。
「お前の鎖はもっと長く 重りはもっと重いだろう。 しかしお前には未来がある」そして今晩三人の精霊が現れるだろうと言って消える。

その予告の通り その晩三つの精霊が現れる。
一つ目は過去の精霊。貧しくとも素朴で恋人もいて人を愛したこともあった若き日のスクルージ。

二つ目は現在。いろいろな家のクリスマスを覗く。
その中で自分が使用人としてこき使っている甥の家が見える。
貧しい食卓ながらも家族が仲良く寄り添っている。その中に病で死をも感じさせる甥の子供が横たわっている。それでも家族はスクルージにもよいクリスマスでありますようにと祝福してくれていた。

三つ目は未来。街中の人から死んでよかったと言われている男の死。
草生した墓場に見捨てられた墓碑。記されていたのは自分の名前だった。


夢から覚めたスクルージは 急いで飛び起き まだ売れ残っていた七面鳥を買い 回転木馬を買い 雇人の甥の家を訪ねる。家族に大歓迎で迎えられ死に瀕していた子共も元気になり 慕われ深く感謝をされる。

そして「ロンドンで一番クリスマスの楽しみ方を知っている人」と称される人になる。
そこには喜びと悲しみを分かち合う素晴らしさを知る人の満ち足りた姿があった。

そんなお話だった。半世紀も昔のことだが今も懐かしく鮮明に思い出されるお話だ。
クリスマスになるたびに思い出される私の大切な思い出。父からの贈り物。

そして今年 これからの私を支えてくれる大きな励みとなる素敵なご本を頂戴した。
大切なお友達から クリスマスプレゼントに間に合うようにとお手作りされた 真心一杯のご本。
夜はベッドの枕元に 昼は居間に 仕事中は仕事用のカバンの中にと24時間手元に置いている。
生涯の思い出に残る素敵なクリスマスプレゼント。

皆様はどんなクリスマスを過ごされましたか?


秋田は文字通りのホワイトクリスマス。
外は雪が深々と積もっていますが 心には温かいものが去来する豊かな時間を頂きました。
慎ましいながらも恙無く今日を迎えることができたことを 心からの感謝とともに記す。


拙いブログを最後までお読みくださって有難うございます。
(言の葉ISの絵のない絵本)毎週火曜日に更新しています。
次回は一月一日です。どうぞご覧くださいませ。


一年間のご愛読本当に有り難うございました。
皆様どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
プロフィール

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Author:言の葉IS
みちのく秋田在住。
座右の銘{往く言葉が美しければ 還る言葉も美しい}
日常の小さな出来事を綴ります。

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